# イラスト:寄り添いながら穏やかに眠る若いカップル
イラスト:寄り添いながら穏やかに眠る若いカップル
「カップルは題材の宝庫である」
これは……たぶん、真理だと思う。私が勝手にそう思っているだけかもしれないが。
一人だと「人物画」。 二人になると「ドラマ」。 三人になると「修羅場」だが、それはまた別の話。
構図に詰まるたびに、 つい 「カップル、召喚!」 と心の中で呟いてしまう。 もう何度目だろう。我ながら芸がない。
桜の下で微笑む二人。 藤棚の下で寄り添う二人。 紅葉の中で手をつなぐ二人。
背景だけだと「自然」。 カップルが入ると「青春」になる……気がする。
なんでこんなに変わるんだろう、と毎回ちょっと驚いている。 しかもカップルは文句を言わない。 「また桜かよ」とか言わない。 私の引き出しの少なさを、黙って受け入れてくれる。ありがたい。
笑う 怒る 照れる すれ違う 仲直りする
一人では出せない"掛け合い"が、 二人にするだけで自然と生まれてくる。
……と、うまくいったときは思う。 うまくいかなかったときは、 ただ二人が並んで立っているだけの絵が完成する。
カップルは「感情の自動販売機」と言いたいところだが、 私の場合、たまにボタンを押しても何も出てこない。
「これは絶対いい」と思って描いたカップルイラストが、 公開した瞬間、
無風
という言葉がこれほど似合う瞬間はない。
桜も散り、藤も枯れ、紅葉も落ち、 相合い傘すら閉じてしまったかのような静けさ。
カップルが万能なのではなく、 たぶん私の使い方の問題なのだと、 最近ようやく気づき始めている。
つまりカップルとは、 ただの人数追加ではなく、 物語を引き出してくれる可能性のある何かで、 その可能性を活かせるかどうかは、完全に描き手次第である。
私はまだ修行中だ。
私のギャラリーには、 たくさん見てもらえたカップルもいれば、 ひっそりと眠り続けているカップルもいる。
静かな二人を見るたびに、 「いや、君たちのせいじゃない」と心の中でフォローする。
責任転嫁ではない。本当にそう思っている。たぶん。
それでも、懲りずにカップルを描くだろう。 構図に迷ったとき、感情に詰まったとき、 「とりあえずカップルにしとこう」という逃げ道として。
カップルは題材の宝庫である。
そして私は、その宝庫に甘え続ける、自覚のある常連客なのだ。
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